読み物
江戸の時間と和時計をめぐる、季節の刻のはなし。
- 通説解体
「明け六つ=日の出」は、半分しか正しくない
時代小説でおなじみの「明け六つ」。日の出のことだと思われがちですが、その答えは暦の歴史のなかで三度書き換えられています。いつ正しく、いつ違うのかを、一次情報からていねいに解きほぐします。
- 通説解体
改暦は、本当に「財政難のため」だったのか
明治の改暦は「財政難のため」とよく説明されます。役人の給料を一か月分浮かせるための改暦だった、と。けれど、それだけでは説明しきれません。財政が決めたものと、近代国家が決めたものを、ていねいに腑分けします。
- 暮らし言葉
九つ、八つ、七つ… なぜ数は減っていくのか
江戸の時刻は「九つ、八つ、七つ…」と、数が減っていきます。なぜ増えずに減るのか。なぜ九から始まるのか。時の鐘の打数と、陰陽の「九」をめぐる、よくできた仕掛けを解きほぐします。
- 仕組み工学
七ミリの宇宙 ― 虫歯車はどう一刻を伸縮させるか
万年自鳴鐘の文字盤は、季節に合わせてひとりでに目盛りが動きます。それを担うのが、わずか七ミリの「虫歯車」。一定の速さの回転から、季節で波打つ動きを、どうやって作り出したのか。その仕組みに焦点をあてます。
- 暮らし言葉
夏の昼は二時間四十分、冬は一時間二十分 ― 季節で伸縮する一刻
江戸の「一刻(いっとき)」は、おおよそ二時間。でも、その長さは季節でまるごと変わりました。夏の昼は二時間四十分、冬の昼は一時間半そこそこ。同じ名前の単位が倍も伸び縮みした、その振れ幅をたどります。
- 仕組み工学
一日二回、時計の速さを切り替える ― 二挺天符
機械時計は、いつも同じ速さで時を刻みます。ところが江戸の不定時法は、昼と夜で一刻の長さが違う。等速の機械に、伸縮する時間をどう語らせたのか。二挺天符という逆転の発想を、模式図とともにたどります。
- 暮らし言葉
音が時刻だった都市 ― 鐘で起き、鐘で店を閉じた江戸
時計を持たない江戸の庶民は、どうやって時刻を知ったのでしょう。答えは「音」。時の鐘が都市の脈拍を打っていました。捨て鐘三つの作法から、設置数や撞き順をめぐる通説の揺らぎまで、耳の都市を歩きます。
- 暮らし言葉
「おやつ」はなぜ三時なのか ― 言葉に残った江戸の時刻
午後の間食を、なぜ「おやつ」と呼ぶのでしょう。その三文字には、江戸の時刻「八つ」が化石のように残っています。おやつ、丑三つ時、正午——言葉に生き続ける不定時法をたどります。
- 通説解体
「世界に類を見ない」と言ってよいのは、どこか
「和時計は世界に類を見ない」とよく言われます。その賛辞、どこまでが事実なのでしょう。万年自鳴鐘の七ミリの歯車「虫歯車」を手がかりに、漠然とした賛辞を、確かに言える一点へと切り分けます。
- 計算実践
自分の街の「明け六つ」は、今日何時か
江戸の明け六つは、季節でも、住む土地でも動きます。江戸・京都・長崎の実際の値を手がかりに、太陽の位置から明け六つを割り出す考え方と、「日の出とは違う」という大事な但し書きを、数式なしで解説します。